2021.7.18ヨハネの黙示録17 章1~8 節「歴代の悪の勢力が裁かれる」
- CPC K
- 2021年7月16日
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牧師 松矢龍造
起
聖書の中には、偶像礼拝者のことを、しばしば淫婦に譬えています。これに「大」がつい
ていますから、その規模と影響力が大きいことが考えられます。イザヤ書では、創造主なる
神様に背いて堕落した町は、淫婦と呼ばれています。イザヤ書1 章21 節「どうして、遊女
になってしまったのか。忠実であった町が。そこには公平が満ち、正義が宿っていたのに、
今では人殺しばかりだ。」
さらにナホム書3 章4 節にも「呪文を唱えるあでやかな遊女の、果てしない淫行のゆえ
に、彼女がその呪文によって諸民族を、淫行によって国々をとりこにしたゆえに。」
そして大淫婦とは、歴代の反キリストの都のことです。かつてはエジプトであり、バビロ
ン、そしてローマの都、さらに2000 年間の反キリストの都や、世の終末における反キリス
トの都のことでしょう。
ヨハネの黙示録時代では、大淫婦とは、邪悪な生き方と、恥知らずの驕りに満ちたローマ
の都を指しました。ローマという名前は、この首都を守護する女神の名前から来ていると言
われます。ローマ帝国が支配している他の国の統治者は、その大淫婦なるローマと共に、みだらなこと、すなわち偶像礼拝をしていました。
承
ヨハネの黙示録の12 章~14 章には、キリストと教会に対する象徴的な、敵の勢力が出て
来ました。サタンである竜。反キリスト的政治権力である、海から上って来た獣。偽預言者
という、地上から上ってきた獣。さらに666 という獣の刻印を右手か額に受けた人々。そし
て今日の御言葉である大淫婦です。17 章と18 章では、この大淫婦の姿と、その最後が預言
されています。
さらにここでの荒れ野とは、この大淫婦によって混乱と無秩序に陥った人間社会ことをた
とえています。裁きは、荒れ野から来るとイザヤは預言しています。イザヤ書21 章1節2
節「海の荒れ野についての託宣。ネゲブに吹き荒れるつむじ風のように彼は来る。荒れ野か
ら、恐ろしい地から。厳しい幻が、わたしに示された。『欺く者は欺き続け、荒らす者は荒
らし続けている。上れ、エラムよ、包囲せよ、メディアよ、わたしは呻きをすべて終わらせ
る。」
この反キリストの勢力である大バビロン、みだらな女たちや、地上の忌まわしい者たちの
母は、多くの富を所有し、世から称賛を受けています。さらに権力と快楽から来る汚れに満
ちていました。
そして反キリスト的な性質は、イエス様の証しをするために苦労している聖徒たち、また
イエス様のために殉教した殉教者たちを苦しめることに、酔いしれる迫害者となって現れて
います。しかしついには、反キリストの勢力は滅びてしまいます。
転
もう一度ヨハネの黙示録17 章1 節「さて、七つの鉢を持つ七人の天使の一人が来て、わ
たしに語りかけた。『ここへ来なさい。多くの水の上に座っている大淫婦に対する裁きを見
せよう。』」この大淫婦は、神様の時に裁かれます。創世記にあります大文化命令によって、一時歴代の都は栄えます。創世記1 章28 節「神は彼らを祝福して言われた。『産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。』」しかし創造主に対して、反逆し続けるなら、その都は、神様の時に滅ぼされます。そして築いた文化は、神様によって他の人の為に用いられます。大文化命令は、反キリストであっても、キリスト者であっても、全てに命じられています。反キリストの勢力は、創造主の栄光の為に文化を形成するとは思っていません。しかしキリスト者は、御聖霊の力によって、創造主の栄光の為に文化を形成し、主を恐れ敬う子孫を増やすために、宣教に励みます。
主なる神様の時に、裁かれるのを覚えて、主の栄光を表す文化を形成し、宣教に励み、主
を恐れ敬う民が、悔い改めて主に立ち帰り、主イエス様を信じる民が、さらに起こされます
ように。2節3節「地上の王たちは、この女とみだらなことをし、地上に住む人々は、この女のみだらな行いのぶどう酒に酔ってしまった。そして、この天使は“霊”に満たされたわたしを荒れ野に連れて行った。わたしは、赤い獣にまたがっている一人の女を見た。この獣は、全身至るところ神を冒涜する数々の名で覆われており、七つの頭と十本の角があった。」赤い獣には、七つの頭と十本の角があります。この描写は、サタンなる竜と同じです。ですからサタンから力を受けた存在です。
4節「女は紫と赤の衣を着て、金と宝石と真珠で身を飾り、忌まわしいものや、自分のみ
だらな行いの汚れで満ちた金の杯を手に持っていた。」紫と赤の衣とあります。紫は王の身
分を象徴しています。赤は、虐殺された神の民の血に関連しています。ですから女は、キリ
スト者を殺害したローマの皇帝のことでしょう。
5節6 節「その額には、秘められた意味の名が記されていたが、それは、『大バビロン、
みだらな女たちや、地上の忌まわしい者たちの母』という名である。わたしは、この女が聖
なる者たちの血と、イエスの証人たちの血に酔いしれているのを見た。この女を見て、わた
しは大いに驚いた。」
大バビロンとは、創造主なる神様に敵意を持つ、すべての組織を象徴しています。ヨハネ
の黙示録が記された時代の大バビロンは、ローマであり、ローマの指導者達の中には、多く
のキリスト者を、死に追いやった者たちがいました。
例えば、ローマの歴史家タキトウスは『年代記』の中で、皇帝ネロによる迫害を述べてい
ます。「聖なる者たち血と、イエスの証人たちの血」とは、殉教たちのことです。
7節「すると、天使がわたしにこう言った。『なぜ驚くのか。わたしは、この女の秘めら
れた意味と、女を乗せた獣、七つの頭と十本の角がある獣の秘められた意味とを知らせよ
う。』」
時に私たちは、毎日の生活から一歩引き下がり、身の周りの悪と罪の傾向を、主の御言葉
に照らしながら見ることで、現実をはっきりと見ることができます。ですから、リトリート
やカンファレンスなどの退修、祈りと断食の日々を通して、私たちの仕事や新聞やテレビな
どから解放されて、今の時代の悪と罪の傾向を見据えることが必要です。
8 節「あなたが見た獣は、以前はいたが、今はいない。やがて底なしの淵から上って来る
が、ついには滅びてしまう。地上に住む者で、天地創造の時から命の書にその名が記されていない者たちは、以前いて今はいないこの獣が、やがて来るのを見て驚くであろう。」
一度ローマ帝国は、皇帝ネロの自殺で、国力が弱りました。しかし後に皇帝ドミティアヌ
スの時に、ローマ帝国は強さを回復します。そしてドミティアヌスは、第二のネロと呼ばれ
ます。主なる神様は、永遠におられ、命の書に名が記されている聖徒も、永遠に生きます。
これに対して、神様の敵である獣や反キリストの勢力は、現れたり、消えたりします。
そして命の書に名が記されていない反キリストの勢力は、現れたり、消えたりする獣を見
て驚きます。しかしもし迫害のない地域に住んでいる聖徒たちがいるなら、驚くよりも、難
しい地域に住むキリストにある兄弟姉妹の為に、祈ることを忘れてはなりません。
結
世の人たちが、大淫婦や偶像に惹かれてしまう要因の一つは、富と金です。キム・ナムジ
ュンという方が、「今日を生かしてくださる神様」ということで次のように言われていまし
た。「信仰は、最上の存在に対して、最上の価値をおくことだと言うことができます。それ
で、私たちは、最上の存在であられる神様に仕えるのです。
しかし、私たちに仕えられようとして、神様と競争するものがあります。それは『富』で
す。私たちが求めているものを手に入れさせる力が『富』すなわち『お金』から出るので、
信仰のない人や、信仰の弱い人は、この世の問題に対する最も効果的な解決策を、お金だと
考えるのです。
資本主義社会において、お金がないことは、不幸になる可能性が高いことを意味します。
お金がなければ、この世にあるものを楽しむことができないので、お金への愛は、この世へ
の愛であり、自己愛の別の姿なのです。
お金を愛する人は、それを、できるだけ、たくさん貯めこもうとします。自分が持ってい
るものを失うかもしれないという恐れ、そして自分がほしいものを得られないかもしれない
という恐れがそうさせるのです。
クリスチャンが、不安の為にお金を求めるのは、日ごとの糧を与えてくださる神様の良い
御性質と力を信じていないからです。そのような人は、神様が自分の人生に責任を持ってく
ださらないかもしれないと考え、些細なことでも不安になり、お金に執着するようになりま
す。すべての良き贈り物は、上から下ってきます。神様に拠り頼み、今日与えてくださった
ものに感謝し、満足しましょう。」
ヤコブの手紙1 章17 節「良い贈り物、完全な賜物はみな、上から、光の源である御父か
ら来るのです。御父には、移り変わりも、天体の動きにつれて生ずる陰もありません。」
主にある愛する皆さん、一時魅力的に見えても、偶像には真の力も希望も永遠もありませ
ん。そして豪奢や贅沢な装いと不義は結びついてゆきます。大淫婦に惑わされてはなりませ
ん。光の源である神様から来る、上からの良い贈り物、完全な賜物に預かり、地の塩、世の
光として、キリスト十字架と復活に生かされた歩となりませんか。お祈り致します。

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