「ひとりのみどりごが、わたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与え
られた。権威が彼の肩にある。その名は、『驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和
の君』と唱えられる。」
牧師 松矢龍造
起
救い主の誕生は、人間が考えた、作り話ではありません。何千年も前から、創造主なる神
様が、預言の言葉として、人類に与えられていたことです。もし人間が作り出した話なら、
嘘があったり、実現しなかったりすることがあります。しかし、神様の言葉として語られた
なら、必ず実現します。
承
救い主の誕生は、ダビデ王と、特に関係が深いです。救い主が誕生する場所は、ユダヤの
ベツレヘムです。それはダビデ王が、誕生した場所でもありました。ベツレヘムは、エルサ
レムの南8㎞ほどにあります、小さな村です。以前イスラエルに研修に行った際に、広い草
原に、羊が飼われている場所でした。
そこに現在では、救い主がお生まれになった場所として、生誕教会が建てられています。
そして救い主が誕生して置かれた家畜小屋の飼い葉桶の場所には、星印がついて、この場所
でしたと確認することが出来ます。その星の真ん中には、手を入れて祈ることが出来るよう
になっています。私も、その星の真ん中にあります穴に、手を入れて、救い主の誕生を感謝
します。そして、この救い主を信じて、一人でも多くの人達が、救われますようにと祈りま
した。
転
さきほどお読みました、旧約聖書のイザヤ書が記された時代は、イスラエルの北側である
ガリラヤ地方は、アッシリア帝国によって滅ぼされ、暗黒の地のようになっていました。現
在ロシアが、ウクライナに戦争をしかけて、領土を奪おうとしています。同じように、アッ
シリア帝国は、イスラエルの地を奪っていき、人々はまさに、暗黒の中で、大いなる光を求
めていました。
大いなる光とは、人間の力では実現しない、希望と命と喜びのことです。大いなる光は、
創造主なる神様による救いによってもたらされます。そしてその救いとは、救い主が誕生す
ることでした。
主は、ダビデ王の末から生まれると預言されていました。救い主の誕生の為に、ご聖
霊が臨んで、マリアさんのお腹に宿りますが、マリアさんは、ダビデ王の子孫の一人でした。また育ての親となるヨセフさんも、ダビデ王の子孫でした。まさに、ベツレヘムで誕生されることも、ダビデ王の末から、救い主が誕生することも、神様の言葉、預言の言葉通りに実現しました。
救い主の誕生にあたって、神の国の権威と力。また人を救い出す権威と力。そして闇から
光に変える権威と力は、すべて神の御子にして、救い主なるイエス様に与えられていました。その名が、四つの内容になっています。「驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君」と唱えられています。
第一に、驚くべき指導者とは、永遠の神の国を治める指導者・リーダーだということです。地上の国は、どんなに栄えても、やがて失われてゆきます。北イスラエルを滅ぼしたアッシ
リア帝国も、ユダヤの国を滅ぼしたバビロン帝国も、バビロン帝国を滅ぼしたペルシャ帝国
も、滅んで行きました。さらにその後のギリシアも、またこれを滅ぼしたローマも、さらに
イスラエルを奴隷としていたエジプトも、今は敗北して、小さな国の一つとなっています。
けれど神の国は、さらに大きくなり、永遠に続き、滅ぼされることも、なくなることもあ
りません。神の御子であり救い主なるイエス様は、神の国を、永遠に治められます。
第二に、力ある神です。人間なら、いつか死にます。また力にも限りがあります。しかし
神の御子イエス様は、天と地を造られ、全宇宙と私達人間を造られた、力ある神様です。万
物は御子において造られました。新約聖書コロサイの信徒への手紙1章16節「天にあるも
のも地にあるものも、見えるものも見えないものも、王座も主権も、支配も権威も、万物は
御子において造られたからです。つまり、万物は御子によって、御子のために造られました。」
第三に、永遠の父と呼ばれています。赤ん坊が生まれた時に、その子は、乳児、子どもと
呼ばれても、父親とは言われないでしょう。しかしイエス様は、生まれた時から、永遠の父
と呼ばれます。それは永遠に、人類を、思いやる、親のような存在だということです。
皆さんの中で、もう父親がいません。あるいは母親がいませんと言われる方も、おられる
でしょう。しかしイエス様は、「永遠の父」として、どんな時にも、共にいてくださり、永
遠に、親のように、深く憐れんでくださり、大切にしてくださいます。
第四に、平和の君と唱えられます。平和とは、四つの平和があります。神様との平和、自
分自身との平和、人との平和、そして自然界との平和です。神様との平和がなければ、私た
ちの魂は、地獄で滅んでしまいます。また自分自身との平和がなければ、私たちは自分が嫌
いで、生きて行けません。さらに、人との平和がなければ、争い戦争となり、悲惨な状況と
なります。そして自然との平和がなければ、災害や飢えで死んでゆきます。
神の御子であり救い主なるイエス様は、この四つの平和を私たちに与える為に、この地上
に来られました。この平和を与える為に、イエス様御自身が、私たちの抱える罪と死と悪魔
に打ち勝つために、御自身を捧げられ、十字架で身代わりの死を遂げ、そして復活されまし
た。
この神の御子にして救い主なるイエス様によって、神様との平和、自分自身との平和、人
との平和、造られた世界との平和が与えられます。
結
大いなる光は、神様による救いであり、その救いは、救い主なるイエス様の誕生によりま
す。このイエス様を信じて、心の中に迎え入れて、救いと平和をあなたも頂きませんか。
イザヤ書9章5節「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子が
わたしたちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、『驚くべき指導者、力ある神、
永遠の父、平和の君』と唱えられる。」
お祈り致します。