2022.12.21箴言 3 章 21~35 節「知恵ある者への祝福と社会生活」
- CPC K
- 2022年12月27日
- 読了時間: 8分
牧師 松矢龍造
起
皆さんは、毎日快い眠りをされているでしょうか。カール・ヒルティという方の、有名な書物に「眠られぬ夜のために」というものがあります。快く眠ることのたとえとして、子どもが明日予定されている、楽しい遠足を思って、わくわくしながら、明日を思いつつ眠るようなものと表現していました。
健康の証拠は「快眠、快食、快便」と言われます。心地よく疲れて、自然と眠りにつき、朝起きると昨日の疲れはどこへやら、というのが、快い眠りではないでしょうか。その為には、心が平安である必要があります。平安の心による良い眠りは、神様の御手の中にあると感じるものだと、今日の箴言の御言葉は語っています。
もっと言えば、神様の御心を大切にし、これに従ったという心の安らぎは、快い眠りにつながります。逆に、神を否定し、神様からの贈り物を拒絶した心には、イライラや不平不満が心にはびこり、平安な眠りは望めません。
承
21 節「わが子よ、力と慎重さを保って、見失うことのないようにせよ。」知恵は、親から子へ、年配者から若者へ、先に救われた者から、未信者に伝えられてゆきます。「力」と訳された原文の言葉は、「健全な知識」あるいは「永続する成功」という意味でもあります。ですから、良い結果を生む知恵の働きを、力と表現しています。
また「慎重さ」と訳された言葉は、「思慮」「分別」とも訳され、冷静に判断することです。この力と慎重さという知恵を、常に見失ってはならないと言われています。これは経験から得た知恵でもあったでしょう。
22 節「そうすれば、あなたは魂に命を得、首には優雅な飾りを得るであろう。」ここで、首には優雅な飾りと言われていますが、知恵ある生き方は、優雅な飾りと同じように、誰の目にも明らかに、美しいということでしょう。同じ表現が、箴言の 1 章 8 節 9 節にありました。
「わが子よ、父の諭しに聞き従え。母の教えをおろそかにするな。それらは頭に戴く優雅な冠、首にかける飾りとなる。」
転
23 節「あなたは確かな道を行き、足はつまずくことがない。」新約聖書で、主イエス様は、御自身のことを「道であり、真理であり、命である」と言われています。主イエス様に信頼して、神様を見上げ、神様を信じ、神様に従って行く。これこそ確かな道であり、霊的に足を躓かせることはありません。
24 節「横たわるとき、恐れることはなく、横たわれば、快い眠りが訪れる。」昼は聖書を、たくさん読んで心に蓄え、夜目が覚めているなら、聖書の言葉を黙想して研究するなら、快い眠りへとつながるでしょう。
25 節 26 節「突然襲う恐怖、神に逆らう者を見舞う破滅に、おびえてはならない。主があなたの傍らにいまし、足が罠にかからないように守ってくださる。」
知恵ある者を、主が守ってくださいます。主に守られる者は、安らかに眠り、悪者が襲い掛かっ
ても、安心していることが出来ます。詩編 23 編 4 節 5 節「死の陰の谷を行くときも、わたしは災いを恐れない。あなたがわたしと共にいてくださる。あなたの鞭、あなたの杖、それがわたしを力づける。わたしを苦しめる者を前にしても、あなたはわたしに食卓を整えてくださる。わたしの頭に香油を注ぎ、わたしの杯を溢れさせてくださる。」
加えて詩編 121 編 3~8 節「どうか、主があなたを助けて、足がよろめかないようにし、まどろむことなく見守ってくださるように。見よ、イスラエルを見守る方は、まどろむことなく、眠ることもない。主はあなたを見守る方、あなたを覆う陰、あなたの右にいます方。
昼、太陽はあなたを撃つことがなく、夜、月もあなたを撃つことがない。主がすべての災いを遠ざけて、あなたを見守り、あなたの魂を見守ってくださるように。あなたの出で立つのも帰るのも、主が見守ってくださるように。今も、そしてとこしえに。」
神の独り子を十字架につけてくださった父なる神様なら、死と滅びから、私たちを守ってくださいます。このように知恵のある者が、神様から祝福と恵みを受けたなら、隣人との関係においても、良き実を結ぶように招かれています。
27 節 28 節「施すべき相手に善行を拒むな。あなたの手にその力があるなら。出直してくれ、明日あげよう、と友に言うな。あなたが今持っているなら。」
知恵ある生き方は、正しい生き方です。特に、貧しく虐げられている人たちに、正義と公正をもって接することが大切です。そして隣人が求めている時、あなたに助ける力があるなら、拒んではなりません。善行を差し控えることによって、信頼を壊し、人にとっては、多大な不便をもたらします。
自分にしてほしいことを、人に対してすることは、黄金律であるとイエス様も言われています。マタイによる福音書 7 章 12 節「だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。これこそ律法と預言者である。」
しかし近くにいると、ともすると批判したり、突き落したり、偽ったりしてしまう人間の罪の性質があります。それを悔い改めて、主イエス様の救いと、赦しを頂いて、御聖霊の助けを祈ります。そしてむしろ隣人を励まし、慰め、助け、苦しみや悲しみに、もっと気づき、愛と助けを、惜し まず差し出すことが、知恵ある者に、ふさわしいです。謙遜な人だけが、血の人を理解し、助けることが出来ると言われています。
イエス・キリストの愛と犠牲に貫かれた、高貴な人生を見て、いつも心の中に、このイエス様を 仰いでいる人が、本当に、へりくだれる人です。その為には、御言葉と御聖霊の賜物が必要です。29 節 30 節「友に対して悪意を耕すな。彼は安心してあなたのもとに住んでいるのだ。理由もなく他人と争うな。あなたに悪事をはたらいていないなら。」
危害を加えようとしない人と、争ってはなりません。悪魔的な模倣には、妬みと争いがあります。心の中に、神様の愛が満たされていると、もう小細工をしなくてもよくなります。自分だけの持ち味や魅力が漂い、妬みや争いではなく、良いことを、隣人に対してはかってゆきます。
31 節「不法を行う者をうらやむな、その道を選ぶな。」
不法を行って繁栄している者がいます。しかし彼らをうらやまないように、度々警告されています。詩編 37 編 1 節 2 節「悪事を謀る者のことでいら立つな。不正を行う者をうらやむな。彼らは草のように瞬く間に枯れる。青草のようにすぐにしおれる。」
悪い者には、未来がありません。ですから、悪を行って一時、栄えているように見える仲間に加わってはなりません。オレオレ詐欺が、社会で大変な問題になっています。手を変え、品を変えて、悪を行って、一時繫栄するように見えます。しかし未来はないのです。
32 節「主は曲がった者をいとい、まっすぐな人と交わってくださる。」「まっすぐ」と訳された原文の言葉は、「正直な」「実直な」「正しいこと」という意味でもあります。主の御前で、曲がった歩みをしていることを認めて、主に告白し、悔い改めて、正しい道を求める者なら、主は交わってくださいます。
33 節~35 節「主に逆らう者の家には主の呪いが、主に従う人の住みかには祝福がある。主は不遜な者を嘲り、へりくだる人に恵みを賜る。知恵ある人は名誉を嗣業として受け、愚か者は軽蔑を受ける。」
ここに三重の比較があります。主に逆らう者と、主に従う者。不遜な者と、へりくだる者。知恵ある人と、愚か者と三重の比較です。主から呪いと嘲りと軽蔑を受けるのか。それとも祝福と恵みと名誉を嗣業として受けるのか。それは知恵ある生活を、わきまえて実行するか、否かにかかっています。
これに似たことは、新約聖書にも記されています。ヤコブの手紙 4 章 6 節「神は、高慢な者を敵とし、謙遜な者には恵みをお与えになる。」ペトロの手紙一 5 章 5 節「同じように、若い人たち、長老に従いなさい。皆互いに謙遜を身に着けなさい。なぜなら、『神は、高慢な者を敵とし、謙遜な者には恵みをお与えになる』からです。」
結
かつて旧約聖書のダビデは、逆境の中でも、神様の守りと支えによって、安心して休むことが出来ました。詩編 3 編 3~7 節「多くの者がわたしに言います。『彼に神の救いなどあるものか』と。主よ、それでも、あなたはわたしの盾、わたしの栄え、わたしの頭を高くあげてくださる方。主に向かって声をあげれば、聖なる山から答えてくださいます。身を横たえて眠り、わたしはまた、目覚めます。主が支えていてくださいます。いかに多くの民に包囲されても、決して恐れません。」また主イエス様は、山上の説教において、幸いな人とは誰か。冒頭で言われたのは、心の貧しい 人です。マタイによる福音書 5 章 3 節「心の貧しい人々は、幸いである、天の国はその人たちのものである。
そして旧約聖書のヨブは、不時の災難が身に迫って来ても、恐れることがありませんでした。ヨブ記 1 章 21 節「わたしは裸で母の胎を出た。裸でそこに帰ろう。主は与え、主は奪う。主の御名はほめたたえられよ。」
主から、天からの知恵と神の国の福音に心が満たされ、御聖霊によって知恵を頂くなら、平安と命、快い眠りと隣人愛に生かされてゆきます。あなたも、天来の知恵に生かされ、生きてゆきませんか。忍耐と望みと平和の神が、私たちと共にいてくださいます。
最後に、ヤコブの手紙 3 章 17 節 18 節を拝読して閉じます。「上から出た知恵は、何よりもまず、純真で、更に、温和で、優しく、従順なものです。憐れみと良い実に満ちています。偏見はなく、偽善的でもありません。義の実は、平和を実現する人たちによって、平和のうちに蒔かれるのです。」
お祈り致します。

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