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2022.5.11ダニエル書1 章7~21 節「妥協か非妥協か」

  • 執筆者の写真: CPC K
    CPC K
  • 2022年6月4日
  • 読了時間: 8分

牧師 松矢龍造


前回からダニエル書の連続講解説教となっています。さて捕囚先のバビロン帝国で、その宮廷でイスラエルの4人の少年が重く用いられてゆく。それは普通では考えられないことです。しかし神様は、御自身の救済史の故に、これをなさいます。

すなわちバビロンをこの後倒すことになるペルシャのキュロス王の治世まで、イスラエルの民を保つ為でした。さらにいえば、イスラエルの末から誕生する救い主・メシアを誕生させる家系を保たれる為でした。

そして創造主なる神様は、試練や誘惑の時、その民と共にいると約束してくだっていることを示すものでもあります。詩編106 編44~46 節「主はなお、災いにある彼らを顧み、その叫びを聞き、彼らに対する契約を思い起こし、豊かな慈しみに従って思いなおし、彼らをとりこにした、すべての者が、彼らを憐れむように計らわれた。」

捕囚となったイスラエルの民の中で、指導者階級の子弟に、バビロンの王は、カルデア人の言葉と知識を学ばせました。それはバビロンの宮廷で仕えさせる為です。そうなれば、イスラエル人が、バビロン帝国に忠実となり、バビロンの習慣と宗教を受け入れられるようになると期待したからでした。

四人の少年たちは、バビロンにおいて名前を変えられました。もともとヘブライ語で「ダニエル」は、「神様は裁き人」という意味です。また「ハナンヤ」は「主は恵みを示す」。「ミシャエル」は「神様のような者は誰か」。そして「アザルヤ」は「主は助ける」という意味です。この四人の少年とも、主なる神様との関係の名です。

これらの名をバビロンの王が変えさせたのは、主なる神様への信仰を放棄させ、バビロンの偶像に仕えさせる為でした。ダニエルは、「ベルテシャツァル」になりました。この名は、バビロンの偶像神マルドゥク・別名ベルが守るという意味です。バビロンの王ネブカドネツァルは、エルサレム神殿から祭具を持ち去り、バビロンの主神の神殿に納めました。他のシャドラク、メシャク、アベド・ネゴも、バビロンの偶像神を指し示す言葉が含まれていました。

バビロンの王は、他国から連れて来られた捕囚民の指導者階級の子弟を三年間教育させました。この三年間の養成というのは、古代、中近東では、教育のための一般的な年数であったとされています。その養育の際に、宮廷の肉類と酒が与えられました。するとダニエルは、王の宮廷での肉類と酒で身を汚すまいと決心し、自分を汚すようなことは、させないでほしいと侍従長に願い出ました。

この宮廷の肉類と酒には、ユダヤの律法では、汚れたものとされているものが含まれていました。

ユダヤの律法では、汚れているものと、清いものを区別する食物規定があり、ダニエルは、この律法に忠実であろうと決心していました。「決心する」と訳された原文のヘブライ語は、「一線を越えないと決断した」という意味です。この食物規定には、血が残るように調理された肉を避けるというものがあります。レビ記17 章10~12 節「イスラエルの家の者であれ、彼らのもとに寄留する者であれ、血を食べる者があるならば、わたしは血を食べる者にわたしの顔を向けて、民の中から必ず彼を断つ。生き物の命は血の中にあるからである。わたしが血をあなたたちに与えたのは、祭壇の上であなたたちの命の贖いの儀式をするためである。血はその中の命によって贖いをするのである。それゆえ、わたしはイスラエルの人々に言う。あなたたちも、あなたたちのもとに寄留する者も、だれも血を食べてはならない。」加えて、バビロンの王の食卓による料理の中には、バビロンの偶像の神々に捧げられたものがあったと思われます。ダニエルは、そのような汚れたものを食事としてとることによって、主なる神様に背くことはできないと考えました。

主なる神様の計らいによって、侍従長は、ダニエルに好意を示し、親切にしました。ダニエルは言いました。12 節13 節「どうかわたしたちを十日間試してください。その間、食べる物は野菜だけ、飲む物は水だけにさせてください。その後、わたしたちの顔色と、宮廷の肉類をいただいた少年の顔色をよくお比べになり、その上でお考えどおりにしてください。」

世話係はこの願いを聞き入れ、十日間彼らを試しました。その結果、十日たってみると、彼らの顔色と健康は宮廷の食べ物を受けている、どの少年よりも良かったのです。それ以来、世話係は彼らに支給される肉類と酒を除いて、野菜と水だけを与えることにしました。

妥協せずに、主に祈るなら、主は想像力豊かな解決方法を示してくださいます。私たちの知恵は、神様との、きちんとした関係を保っている時、誠実なものとなってゆきます。コリントの信徒への手紙一10 章13 節「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。」

さらにこの四人の少年には、知識と才能を、主なる神様から恵まれ、文書や知恵についても、他の国の少年達よりも優れていました。特に、ダニエルには、どのような幻も夢も解くことが出来ました。ネブカドネツァル王は、王の定めた3 年の教育期間が過ぎると、この四人を連れてこさせると、この四人に並ぶ者は、誰もいませんでした。そこで、この四人は、王のそばに仕えることになりました。

王は、それまでバビロンの呪法師や呪文師に頼っていました。それはこの両者とも、未知のものに対する支配と知識を専門にしていたからです。バビロン帝国は、悪い国家でしたが、ダニエルたちの影響がなければ、それ以上にひどい国家になっていたでしょう。

ダニエルと三人の少年たちは、神様から知恵を豊かに委ねられ、バビロンの王宮で影響力を増して行きました。そしてダニエルは、キュロス王の元年まで仕えていました。ペルシャの王キュロス王は、紀元前・BC539 年にバビロンを破って支配下に置きました。預言者イザヤは、キュロスを、油注がれた人、すなわち神様が選んだ人と呼んでいます。キュロスが、ユダヤ人を捕囚から解放する役を果たしたからです。

イザヤ書45 章1 節「主が油を注がれた人キュロスについて、主はこう言われる。わたしは彼の右の手を固く取り、国々を彼に従わせ、王たちの武装を解かせる。扉は彼の前に開かれ、どの城門も閉ざされることはない。」

考古学的には、「キュロスの円筒碑文」と呼ばれる古代ペルシャの碑文が見つかり、キュロスが、バビロンを征服し、捕囚民を寛大に扱ったことが記されています。ダニエルは、BC536 年、つまりキュロスが実権を握ってから少なくとも、3 年は仕えていたとみられます。

神様は、神様の律法の要求に忠実に従う者に、祝福を示されます。それは、主なる神様が、御自身に従う者に、御自身の栄光を授けられる証しでもあります。人を真に生かすものは、条件ではなく、信仰です。地上に展開する、全ての出来事の上に、主は御支配を持っておられます。そしてこの主は御摂理の主でもあられ、どの国々でも、私たちに対しても、同様にお取り扱いくださいます。

主なる神様は、捕囚された中でも、イスラエルを顧みられ、四人の少年たちを、バビロンの王のそば近くで仕えることが出来るように導かれました。知恵や知識、幻や夢を解き明かす力を委ね、イスラエルが滅びないように計られました。

そして御摂理の主は、どの国でも、生きて働かれる神様です。主の御計らいが、私たちの中にもあることを覚え、主から委ねられたところで、私たちも、主からの賜物をもって、宣教の働きをなすことができますように。

最後に、ジン・ジェヒョクという方の「離れることの祝福」の中から「私がつけられるべき十字架」という内容を受け留めます。「長崎は、日本で最初の殉教者が出た地です。20 人のキリシタンと6 人の宣教師が、京都を出発し、一か月間連れ回され、苦しめられた末、ついに長崎に到着し、そこで十字架刑になりました。彼らを記念した場所が「26 人聖人記念館」です。そこには26 の銅像がありますが、そのうちの

三つは、当時12 歳、13 歳、15 歳で殉教した子どもたちの銅像です。その子どもたちは、親と一緒に処刑されたのです。そのうちの一人は、目の前で両親が十字架刑になるのを見て、迫害する者に『私がつけられる十字架はどこにありますか』と尋ねたといいます。

また、6 人の宣教師のうち、フィリッピンから来たロレンソ・ルイスは、『信仰を捨てるくらいなら、むしろ千回死のう』と告白したそうです。私たちが、この世から憎まれ、おかしいと思われても、それは神様の栄光となります。これが、信仰の逆説です。信仰によって、私たちの人生を神様に委ねましょう。そのときに現れる神様の栄光を喜びましょう。

苦しみの道ではあっても、最期まで信仰者として神様の栄光を現わす人生を生きましょう。私たちの前にある道は不確かですが、神様の与えてくださる栄光と喜びは確かなので、私たちは、御言葉に従って大胆に歩むことができます。今日も、その道を歩んでいる天の御国の旅人たちを通して、神様は栄光を受けられるのです。」

神様に愛されている皆さん、世に妥協することなく、信仰とご聖霊によって、妥協することなく、御言葉に聴き従い、主の御栄光を現す人生を歩んでゆきませんか。

お祈り致します。

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